ことばの処方箋|眠れる杜で星を拾う

眠れる杜で星を拾う 声とことばの処方箋

ずっと、私の時間はどこかで途切れてしまったのだと思っていた

動かなくなった
歯車を責めては、
息をひそめるように、
心を深い杜の陰へしまい込んでいた

けれど、ある夜ー
ふと空を見上げたとき、
そっと気づいた

止まっていたのは
「物語のすべて」ではなく、
ほんの短い
ひとつの季節だけだったこと

その前も、そのあとも、
静かな呼吸のように
私の時間は流れつづけていたこと

凍える夜も、
嵐の音に身をすくめた日も、
私はその場所に留まり、
じっと耳を澄ませていた

それは、
光の下を急ぐよりもずっと、
小さな勇気の積み重ねがいること

早く駆けぬけた誰かと比べなくていい

私は私の歩幅で、
長い夜のなかに咲く
見えない花の匂いを探していた

その時間だけが教えてくれた美しさがあった

だから今、
胸の奥にそっと集めた星たちを抱きしめながら
静かに言うことができる

「眠っていたあの時間も、わたしを守ってくれた旅だった」

だからこそ
「今のわたしがいる」

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