抗がん剤治療という現実
手術から約3週間後、病理検査の結果を聞くよう呼ばれました。
「家族を呼んでください」と言われました。
家族はいません。妹弟は気軽に呼べるところに住んでいません。
しかも、お盆真っ只中。
そんなに急に来れるわけないじゃないか!
怒りにも似た思いが一気に膨らみます。
何だかんだと話し合い、結局、ひとりで聞くことにしました。
病理検査の結果は、追加で抗がん剤治療の必要性。
半年間、月に1度の入院治療が予定されていました。
そして、さまざまな副作用について説明がありました。
しかし、私の頭にあったのは副作用や髪の毛のことではなく、治療費と生活費のこと。
治療で働けなくなれば収入は途絶え、生活が成り立たなくなる。
これまで何度も、病気を理由に職を失ってきた経験が脳裏によみがえりました。
半年間働けないのであれば、またクビになる…。
医療者の「半年間、働かないくらいで生活がひっ迫するの?」という無神経な言葉に、心は冷え切りました。
治療費を試算してもらい、ため息しかでません。
そんな中、「生活保護を受ければいい」と軽く言われ、さらに距離が広がっていきました。
「待ってくれる人がいる」という安心
一時は「治療をしない」という選択肢が頭を占めていました。
抗がん剤治療をしても再発や転移をしないとは限らないし、治療をしなくても大丈夫なこともある。
どちらも同じような氣がしていました。
そんな中、妹や知人からの「治療はしてください。生きてください」という言葉に揺れます。
職場に相談してみるしかない!
クビになることを覚悟の上、職場へ連絡。
月1回の入院治療が必要になることを伝えると、「大丈夫です。お待ちしています」と即答が返ってきました。
当然、契約は終了だと思い込んでいた自分にとって、その言葉は大きな転機でした。
「待ってくれる人がいる」「戻れる場所がある」という安心感が、治療を受ける決意につながったのです。


